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日本陸上競技連盟史

2014年度

2014年度
平成26年4月~平成27年3月

リレー、マラソンのナショナルチーム始動
アジア大会金3つ 2014年を象徴する種目で

 2014年は五輪、世界選手権がない中間年で、韓国・仁川で開催された第17回アジア大会がメイン。日本勢は金メダルが3個と4年前より1つ減らしたものの、メダル総数は23(銀12、銅8)は4年前を3つ上回った。

 金メダルを獲得した種目が特徴的で、男子十種競技、男子4×400mリレー、男子50km競歩。男子50km競歩の金メダルは競歩種を通じて初。男子十種競技は6大会ぶり、男子4×400mリレーは4大会ぶりで、しばらく「アジアの盟主」から追われていた種目で、留飲を下げる勝利だった。

2014年デカスロン革命
右代が8308点のビッグレコード、中村も8000点へ

 2014年は男子十種競技の革新的なシーズンになった。2011年に日本人初の8000点デカスリートとなった右代啓祐(スズキ浜松AC)は、ここ2年は記録が停滞したことを受けて「身体の使い方」を学び直し。2月のニュージーランドで調整なしにも関わらず7885点の布石を打ち、4月26日~27日の日本選抜陸上和歌山大会(紀三井寺)で強風の影響を受けながら8143点の日本新。

アジア大会 右代啓祐 ©月刊陸上競技

 さらに、5月31日~6月1日の第98回日本選抜混成(長野市営)で8308点のビッグレコードを打ち立てた。和歌山での得点ペースにわずか及ばない4120点で折り返したが、2日目はペースアップ。特に得意種目のやり投でサードベストの69m11が出て、大きく稼いだ。

 中村明彦(スズキ浜松AC)も大股の一歩。和歌山で7794点の自己新を出し、そこから一気に241点の更新が日本選手権。右代に続く日本人2人目の8000点突破となる8035点をマークした。本職の十種競技より先に400mハードルでオリンピアンとなり、その走力と跳躍力を武器に、100m、400m、110mハードルで900点を超えた。

充実の競歩陣 谷井が日本歴代2位を連発しアジア王者へ
世界ジュニア、ユース五輪で金メダル 鈴木の世界新

 日本の男子競歩はその年々で主役の顔を変えながら、複数名が世界水準の上位層を形成し続けており、2014年の顔になったのは谷井孝行(自衛隊体育学校)。日本選手権50km競歩で日本記録保持者の山崎勇喜(自衛隊体育学校)を競り落とし、日本歴代2位の3時間41分32秒で連覇。アジア大会では日本初の金メダル。自らハイペースを刻み、山崎や中国勢を振り落としていく強い内容だった。

 松永大介(東洋大)が5月の第26回ワールドカップ競歩のジュニア10km銀メダルをステップに、7月22日~27日に米国オレゴン州ユージンで開催された第15回世界ジュニア選手権10000m競歩で金メダル獲得の壮挙。第2回ユースオリンピック(8月20日~26日/中国・南京)の男子10000m競歩では小野川稔(東京実高)が金。2015年2月の第98回日本選手権20km競歩(兵庫・神戸)では高橋英輝(岩手大)が日本新で初V。若手の活躍も華々しいシーズンだった。

世界ジュニア選手権 松永大介 ©月刊陸上競技

世界ジュニア選手権 松永大介 ©月刊陸上競技

 鈴木雄介(富士通)がステップアップ。5月のワールドカップ競歩20km4位、9月に10000m競歩の日本新、アジア大会20km競歩は五輪銅メダリストとの接戦から銀メダル。そして、2015年3月の第39回全日本競歩能美大会(石川)で高橋から日本記録を1ヵ月で取り返すどころか、1時間16分36秒の世界新記録を樹立。快歩を重ねた。

男子マイルの金で締めくくり、1走・金丸から先行逃げ切り

 アジア大会に話を戻す。男子4×400mリレーの直前、日本陣営はやや沈んだムードだった。男子やり投と男子4×100mリレーで日本勢がワールドクラスのパフォーマンスを繰り出しながら、やり投は趙慶剛が89m15、4×100mリレーはアジア初の37秒台(37秒99)と、その上をいく中国勢の「アジア新」に金メダルを奪われていたのだ。

 予選を加藤修也(早大)、藤光謙司(ゼンリン)、高平慎士(富士通)、金丸祐三(大塚製薬)の走順で突破。45分前に4×100mリレーを走った高平が、ケガ人続出のメンバー不足を埋めた。

 決勝はガラリとオーダーを変え、金丸、藤光、飯塚翔太(ミズノ)、加藤の順。今度は45分前に4×100mリレー決勝を走った飯塚を抜擢し、走順は選手同士で決めた。後半型のサウジアラビアに対し、「1、2走で勝負を決める」(金丸)と日本は先行型を選択。これがピタリとハマった。狙い通りに金丸と藤光の快走でトップに立つと、3、4走は学生2人がリードを生かした〝逃げ〟。4年前に0.13秒差で銀メダル、その後の世界大会が3度とも予選落ちでくすぶっていた日本のマイルが、輝きを放った。

アジア大会 男子マイルリレー ©月刊陸上競技

 男子棒高跳は澤野大地(富士通)が5m35、5m45を3回目に越えていく粘り腰を発揮した後、5m55を鮮やかに1回でクリアして銀メダルをつかんだ。女子棒高跳の我孫子智美(滋賀レイクスターズ)はシーズンベストの4m25で銀メダル。男女マラソンはバーレーン勢とのスプリント勝負に惜しくも敗れる内容で、男子は松村康平(三菱重工長崎)が1秒差の銀、川内優輝(埼玉県庁)が4秒差の銅。女子の木﨑良子(ダイハツ)は13秒差の銀だった。

男子やり投に新時代の旗手・新井が台頭

 男子やり投界もシーズンを振り返ると、新時代の旗手・新井涼平(スズキ浜松AC)の台頭に沸いた1年だった。新井は4月29日の第48回織田記念(広島・広島広域)で自己記録を一気に7m余り更新する85m48をマーク。この一発に終わらず、日本選手権を81m97で初制覇。ケガのディーン元気(ミズノ)、村上幸史(スズキ浜松AC)は同大会3、6位に終わった。アジア大会は趙慶剛の後塵を拝したとはいえ、84m42で銀メダルを確保。そして締めくくりに長崎・長崎県立総合運動公園競技場で10月18日~22日に開催された第69回国民体育大会で、日本歴代2位の86m83のビッグアーチを架けた。

日本選手権は雨の福島 室伏20連覇、金丸10連覇

 男子800mの川元奨(日大)がゴールデングランプリ東京で1分45秒75を日本新。舞台は改修を控えた“最後の旧国立競技場”で。しかもケニア、欧州勢にスプリントで勝ち切る大金星をつかんだ。男子800mは高校新も誕生。国体少年共通で前田恋弥(千葉・市船橋高)がスタートから1度も先頭を譲らず1分48秒08で駆け、川元の記録(1分48秒46)を破った。

 第98回日本選手権はアジア大会代表を懸け、福島市のとうほう・みんなのスタジアム(県営あづま陸上競技場)で6月6日~8日に開催されたが、3日間とも降りしきる雨の中での激闘になった。男子100mでガクセイルーキー・桐生祥秀(東洋大)が、山縣亮太(慶大)らを下して初優勝。男子ハンマー投の室伏広治(ミズノ)が前人未到の20連覇、男子400mの金丸祐三(大塚製薬)はトラック種目初となる10連覇の金字塔を打ち立てた。

日本選手権 室伏広治 ©月刊陸上競技

「東京」をにらむジュニア世代の躍動

 ジュニア、ユース世代の世界大会で、6年後の「東京」をにらむ若手が躍動。7月の世界ジュニア選手権、8月のユース五輪はともに日本勢のメダルラッシュに沸いた。

 世界ジュニア選手権では前述した松永の金メダルのほか、男子400mで加藤修也(早大)が銀メダル、男子100mでは桐生祥秀(日本生命)が銅メダルと、シニア日本代表が実力を発揮。桐生、加藤をエースにした男子4×100m、男子4×400mの両リレーがともに銀。男子走幅跳では、後に日本新を記録する城山正太郎(東海大北海道)が銅メダルを獲得した。

 ユース五輪では前述の小野川と、女子3000mの髙松望ムセンビ(薫英女学院高・大阪)が金メダル。男子100mの大嶋健太(東京高)、男子走高跳の平松祐司(西城陽高・京都)が銀。男子円盤投の安藤夢(東京高)が4位と健闘するなど、出場13人で5つのメダルと、それを含む8つの入賞を手にした。

マラソンでは今井正人の快走光る

 冬のマラソンシーズンで光ったのが、今井正人(トヨタ自動車九州)だ。2015年2月22日の東京マラソンで日本歴代6位の2時間7分39秒をマーク。シニア初の日本代表入りとなる北京世界選手権代表の座を射止めた。本番は直前に髄膜炎を患った影響で欠場となっている。

 東京国際女子を継承するかたちで2009年にスタートした横浜国際女子マラソンが、11月16日の第6回大会でラストを迎え、田中智美(第一生命)が2時間26分57秒で優勝して締めくくった。


記事提供:月刊陸上競技