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日本陸上競技連盟史

2022年度

2022年度
令和4年4月~令和5年3月


オレゴン世界選手権に向けて
春から各種目で好記録が続出

 東京五輪を終えて、今度はオレゴン世界選手権に向けたシーズンが幕を開けた。

 新シーズン早々に日本新記録が誕生したのは、活況の女子100mハードル。4月10日の北陸実業団選手権(新潟市)の予選で、前年に日本タイ記録を打ち立てた青木益未(七十七銀行)が0秒01短縮し、12秒86の新たな記録を樹立した。

 また、4月9日の金栗記念(熊本総合)では、三浦龍司(順大)が専門の男子3000m障害ではなく、1500mで日本歴代2位の3分36秒59をマークして優勝した。接戦を繰り広げた2位の遠藤日向(住友電工)も日本歴代3位の3分36秒69。男子5000mでは田澤廉(駒大)が、学生歴代8位(日本人学生歴代6位)の13分22秒60で日本人トップの5位に入った。

 三浦は4月29日の織田記念(広島広域)でも、専門外の5000mに出場。他の実力者を抑えて、13分32秒42で優勝を飾っている。遠藤も5月4日のゴールデンゲームズinのべおか(宮崎)で快走を見せ、5000mでアフリカ勢を振り切って1着でフィニッシュ。日本歴代2位となる13分10秒69の好記録をマークし、オレゴン世界選手権の参加標準記録をも破って日本代表に一歩前進した。

 フィールドでは、室内の勢いそのままに女子三段跳の森本麻里子(内田建設AC)が織田記念で日本歴代3位となる13m56を跳び優勝すると、静岡国際も制した。兵庫リレーカーニバルでは、女子棒高跳の那須眞由(KAGOTANI)が日本歴代4位の4m33をクリアした。日本学生個人選手権(4月15日~17日)では、男子砲丸投のアツオビン・ジェイソン(福岡大)が日本歴代7位(日本学生歴代3位)となる18m42をプットした。

 また、男子十種競技では丸山優真(住友電工)が、木南記念で日本歴代5位の7807点を打ち立てて優勝した。

 男子中距離も活況で、木南記念では、飯澤千翔(東海大)が1500mで日本学生歴代4位(日本人学生歴代3位)となる3分38秒55で優勝。静岡国際では薄田健太郎(筑波大院)が800mで日本歴代5位の1分46秒17をマークし日本人トップの2位に入った。

男子の川野、女子の園田が35㎞の初代チャンピオンに

 4月17日に開催された第106回日本選手権35km競歩は、国際大会が50kmから35kmに変更されたのに伴って、国内初の35kmレースとして行われた。男子の初代王者には、東京五輪50km6位の川野将虎(旭化成)が輝いた。世界歴代9位の2時間26分40秒で優勝し、オレゴン行きの切符を手にした。女子は2時間45分48秒で優勝した園田世玲奈(NTN)が初代女王となり、初の日本代表に内定した。

 5月7日には東京・国立競技場で第106回日本選手権10000mが行われた。女子は、東京五輪7位入賞の廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が、萩谷楓(エディオン)とのマッチレースを制して31分30秒34で連覇を果たした。タイムレース(2組)で行われた男子は、東京五輪代表で学生時代から好勝負を見せてきた相澤晃(旭化成)と伊藤達彦(Honda)が接戦を繰り広げ、相澤が伊藤を振り切って27分42秒85で2年ぶりの優勝を勝ち取った。

 6月4日、5日に秋田県営競技場で行われた日本選手権混成の女子七種競技は、ヘンプヒル恵(アトレ)が5872点で5年ぶり4度目の優勝。男子十種競技は奥田啓祐(第一学院高教)が7626点で初優勝を果たした。

 第106回日本選手権は6月9日から12日まで4日間にわたって大阪市のヤンマースタジアム長居で開催。日本記録こそ生まれなかったものの、オレゴン世界選手権の代表選考を兼ねており、好勝負が繰り広げられた。

 男子走幅跳の橋岡優輝(富士通)は8m27を跳んで、2年連続5度目の優勝を飾り、2大会連続で世界選手権出場を決めた。

 女子中長距離では田中希実(豊田自動織機)が1500mと5000mの2冠を果たし、2種目で日本代表に内定。男子3000m障害の三浦龍司は、自身の日本記録には届かなかったものの、8分14秒47と大会新記録を打ち立てて貫禄の優勝を飾った。女子3000m障害でも日本歴代上位記録が続出。山中柚乃(愛媛銀行)が日本歴代2位となる9分38秒19の大会新記録で優勝した。

 女子100mハードルでは福部真子(日本建設工業)が悲願の初優勝。その後の布勢スプリント(6月25日、26日)では日本人3人目の12秒台(12秒93)をマークした。

日本選手権100mハードル ©月刊陸上競技

北口が日本人初のダイヤモンドリーグ優勝

 ビッグニュースが飛び込んできたのは、日本選手権の直後だった。女子やり投で2年連続3度目の優勝を果たした北口榛花(JAL)が、6月18日のダイヤモンドリーグ(DL)パリ大会に出場。世界トップクラスの選手が出場するなか、3回目に63m13を投げて優勝。DL日本人初制覇という快挙を成し遂げた。

 6月22日にはホクレン・ディスタンスチャレンジの20周年記念大会が北海道・深川で行われた。女子1000mでは田中希実が自身の記録を更新し、2分37秒33の日本新記録を樹立。男子1500mでは荒井七海(Honda)が日本歴代3位の3分36秒63をマークした。


世界選手権で史上最多タイの4つのメダル。競歩大活躍

 世界選手権が18回目にしてアメリカで初開催。7月15日から24日までの10日間、オレゴン州ユージンで熱戦が繰り広げられた。日本代表は、4つのメダルを含め入賞9と、いずれも過去最多タイとなる活躍を見せた。

 圧巻だったのは男子20km競歩だ。積極的にレースを進める山西利和(愛知製鋼)に対し、池田向希(旭化成)は冷静に対応。最後は2人の優勝争いになった。そして、山西がドーハ大会に続いて2大会連続の金メダル、池田が銀メダルを獲得した。世界選手権の2大会連続優勝は男女を通じて日本初。同一種目で日本人のワン・ツー・フィニッシュも初めて。住所大翔(順天堂大)も8位に入り、この種目でトリプル入賞を果たした。

オレゴン世界陸上 山西利和 ©月刊陸上競技


 さらに、初めて実施された男子35km競歩では、川野将虎が2時間23分15秒のアジア新記録で銀メダルに輝いた。女子も20㎞で藤井菜々子(エディオン)が6位となり、ドーハ大会(7位)に続き2大会連続で入賞した。

 もう1人、快挙を成し遂げたのが女子やり投の北口榛花(JAL)だ。予選でサードベストとなる64m32を投げると、決勝では5位で迎えた最終試技で63m27を投げて3位に浮上。五輪も含めて女子フィールド種目で日本人がメダルを獲得するのは初めてのことだった。

オレゴン世界陸上 北口榛花 ©月刊陸上競技

 男子100mではサニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC)が、この種目で日本人初の決勝進出を果たし、7位に食い込んだ。

オレゴン世界陸上 サニブラウン・アブデル・ハキーム ©月刊陸上競技


 大会最終日の男子4×400mリレー決勝では、佐藤風雅(那須環境技術センター)、川端魁人(中京大クラブ)、ウォルシュ・ジュリアン(富士通)、中島佑気ジョセフ(東洋大)とつなぎ、2分59秒51のアジア新・日本新記録を打ち立てて、過去最高の4位入賞を果たした。

 男子走高跳では真野友博(九電工)が日本勢として初めて決勝に進み、8位に入賞した。

 入賞には届かなかったものの、女子100mハードルでは福部真子(日本建設工業)と青木益未(七十七銀行)が準決勝に進み、福部は12秒82の日本新記録を打ち立てた。その後、福部は9月の全日本実業団対抗選手権で12秒73まで記録を短縮する。

 女子4×100mでも11年ぶりの日本新記録(43秒33)が誕生した。

 また、大会に先立って行われた世界陸連の評議員会では、2025年に東京で世界選手権が開催されることが決定した。1991年以来2度目の開催で、2007年大阪を含む3度目の日本開催。1ヵ国で3度目の世界選手権実施は史上初となる。

 シニアの活躍に負けじと、ジュニアも世界大会で躍動した。8月1日~6日にコロンビア・カリで開催されたU20世界選手権では、池下航和(環太平洋大)、藤原寛人(中大)、舘野峻輝(東洋大)、栁田大輝(東洋大)の4人が男子4×100mリレーで史上初の金メダルを獲得した(1着の南アフリカが失格となり、2着フィニッシュの日本が繰り上がり)。栁田は個人種目の100mでも6位に入っている。

 女子10000m競歩では、大山藍(鹿児島女高)が銀メダル、柳井綾音(立命大)が銅メダルと2つのメダルを獲得。シニアでは男子競歩の活躍が目立つが、ジュニアで女子が存在感を示した。女子ハンマー投では村上来花(九州共立大)が3位となり、この種目でジュニア、シニアを通じて世界大会初のメダルを獲得した。

 国際舞台での快挙はさらに続く。9月7日、8日にスイス・チューリヒで開催されたダイヤモンドリーグ・ファイナルに、女子やり投の北口榛花(JAL)と男子3000m障害の三浦龍司(順大)が出場し、北口が63m56で3位に入り、三浦も4位と健闘した。

 冬季のロードレースでは、1月15日のヒューストン・マラソンで新谷仁美(積水化学)が日本歴代2位の2時間19分24秒をマークし、日本記録にあと12秒まで迫った。

 2月26日の大阪マラソンでは、西山和弥(トヨタ自動車)が初マラソン日本最高記録となる2時間6分45秒で日本人トップの6位。3月7日の東京マラソンでは、男子の山下一貴(三菱重工)が日本歴代3位の2時間5分51秒、其田健也(JR東日本)が日本歴代4位となる2時間5分59秒と、2人が2時間5分台をマークした。


記事提供:月刊陸上競技